
韓国では今、静かな“心の革命”が起きています。
美容やファッションに敏感な「美魔男」ブームの裏で、実は心のケアを求める30〜40代男性の相談者が急増しているのです。
2024年に注目されたメンタルケアアプリ「Trost(トロスト)」では、男性利用者の割合がわずか3%から15%に急増。
その多くが、仕事や家族、将来への漠然とした不安を抱えるミドル世代。
これまで相談を“恥”とする傾向が強かった韓国社会において、これは画期的な変化です。
なぜ今、男性たちが心の相談を始めたのか?
韓国社会は長らく“我慢こそ美徳”の文化が根強く、特に男性は感情を外に出すことを避ける傾向がありました。
しかしコロナ禍を機に、「怒り」「孤独」「喪失感」といった感情を表現する男性が増加。
仕事や家庭、人生の節目で感じるモヤモヤを言葉にして吐き出したいというニーズが強まったのです。
また、カカオトークの普及やAIチャットの進化もあり、匿名で即時につながれる安心感が心のハードルを下げています。
話題のメンタルアプリ「トロスト」とは?
「Trost」は韓国発のメンタルケアアプリ。
アプリ上で心理カウンセラーと1対1のテキスト相談ができ、希望すれば電話セッション(50分)にも切り替え可能。相談ジャンルはうつ、不安、怒り、育児、人間関係、仕事、喪失など多岐にわたります。
登録カウンセラーは140名以上。LG化学など大手企業と提携し、社員のメンタルサポートとしても導入が進んでいます。
2025年初頭には累計ユーザーが3.5万人を超え、韓国における“AI×心のケア”市場の先駆者とされる存在です。
使い方は?驚きのハードルの低さ
使い方はとてもシンプル。スマホアプリをダウンロードし、匿名でカウンセラーを選んでメッセージを送るだけ。
AIが感情キーワードを拾い、最適な相談窓口を提案してくれるため、「どこに何を相談すればいいか分からない」人でも安心です。
韓国語に自信がない在韓外国人でも、簡単な表現や自動翻訳を使えば十分やり取り可能。また最近では、日本語や英語に対応したサービスも増えています。

海外移住者にとっての“心のセーフティネット”に
異国で暮らすというのは、想像以上に孤独との向き合いです。
言語の壁、家族との距離感、文化的なズレ…。そんな中で、誰にも話せない悩みを抱えている人は少なくありません。
このようなメンタルケアアプリは、まさに海外生活者の心のセーフティネット。
韓国で暮らす私自身も、日常の不安や怒りを「ちょっと整理したい」と思うことってけっこうあります。
そんなとき、誰かに話すだけで心がスッと軽くなる――
そんな経験みなさんもありませんか?
その「誰か」は、今やAIやオンラインの専門家であってもいい時代なのです。
AI×心のケアは、ここまで来ている
ChatGPTを活用すれば、自分専用の“心の整理アシスタント”も作れます。
たとえばこんなプロンプトを用意しておくだけで、感情の整理ができます:
「私は今、仕事で大きなストレスを感じています。感情を言語化し、自分を客観的に見つめ直すアドバイスをください。」
このように、AIと人間のカウンセリングを組み合わせることで、心のメンテナンスはもっと身近なものになります。
今後、海外在住者や中高年層を中心にこうした「テクノロジー型心ケア」が広がっていくでしょう。

おわりに|まずは“話してみる”ことから
韓国では「男性が心の声を発すること」がようやく許されつつあります。
この変化は、私たち海外移住者や日本人にとっても大きなヒントになるのではないでしょうか。
黙って耐える時代はもう終わり。
感情を見つめ直し、癒すことは弱さではなく、新しい強さなんです。
▶️ Trostは韓国国内で広く使われているメンタルケアアプリです。
気になる方は公式サイトやGoogle Play、App Storeからチェックしてみてください。
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