
2025年11月、”Yamamoto Yoshinobu is GOAT. ” こんな言葉が世界に拡散されました。
GOATとは”Greatest Of All Time”を略した「史上最強/最高の人」を指す英語のスラングです。
一体このメジャーリーグ1年目、若干25歳の日本人選手がどんな偉業を達成したのでしょうか。
野球にあまり詳しくない人でも、山本由伸がどれほどすごいのかをわかりやすく説明し、大絶賛したアメリカ人たちの反応を紹介します。
山本由伸についての基本情報
山本由伸(Yoshinobu Yamamoto)は、兵庫県出身のプロ野球投手。
日本のオリックス・バファローズでエースとして活躍し、2024年にロサンゼルス・ドジャースと契約してMLB入り。
小柄な体格ながら、伸びのあるストレートと異常なキレのスプリットを武器に、日米で“最強クラス”の投手と評価されています。
■ 主なプロフィール
- 生年月日:1998年8月17日
- 出身地:岡山県生まれ・兵庫県育ち
- 身長/体重:178cm/80kg前後
- 投打:右投右打
- 所属:ロサンゼルス・ドジャース(MLB)
■ 日本での主な実績
- 沢村賞 3回受賞(日本の最優秀先発投手賞)
- 投手三冠(防御率・勝利・奪三振)3年連続
- NPB史上最高クラスの支配力と評価された投手
■ MLBでの特徴
- メジャーでも通用したスプリット(落ちる球)
- MLB打者を抑え込む制球力と球質
- 短期決戦で見せる極端な勝負強さ
- 1年目からワールドシリーズMVP獲得
山本が作ったヤバすぎる記録
ここに一つのデータがあります。
3‐0 W/L
17.2 IP
2 ER
15 K
ワールドシリーズ(MLBの頂点を決める決勝カード)での成績だけ を抜き出したものです。
これだけでは「何のこと?」という人もいるかもしれませんね。
わたしもはじめはこの数字の何がすごいのか全くわかりませんでした😅
MLB120年の歴史の中で「新人がこれをやった」のは、ほぼ “事件” として扱われるレベルなのです。
「山本由伸選手の凄みを最もシンプルに表したデータ」といってもいいかもしれません。
上の数字が何を表しているのかをわかっていただけるよう、これから解説します。
これを知れば山本由伸選手がどれくらいすごいかということが見えてくることでしょう。
その前にWorld Series(ワールドシリーズ)のことをざっと説明しておきます。
ワールドシリーズとは?
ワールドシリーズは、アメリカとカナダのプロ野球リーグであるメジャーリーグ(MLB)の年間王者を決定する最終シリーズです。
世界の頂点を決めるスポーツイベントとしては、サッカーのワールドカップ決勝、バスケットボールのNBAファイナル、アメリカンフットボールのスーパーボウルなどと並び称される、野球界で最も権威のあるタイトルです。
MLB(メジャーリーグ)について
MLBの1年間は、長く複雑な道のりです。
MLBは、アメリカン・リーグ(AL)とナショナル・リーグ(NL)の2リーグ制を採用しており、レギュラーシーズン終了後、それぞれのリーグのチャンピオンチーム同士が激突するのがワールドシリーズです。
まず、各チームは162試合のレギュラーシーズンを戦い抜きます。その後に待つのが「ポストシーズン」と呼ばれる決勝トーナメントで、これには各リーグ上位6チームのみが進出できます。
レギュラーシーズン(162試合)
↓ 上位6チーム(各リーグ)
──────────────────
ワイルドカードシリーズ(WC)
ワイルドカード3チーム → 勝者1チーム
──────────────────
ディビジョンシリーズ(DS)
地区優勝3チーム + WC勝者1チーム = 計4チーム
→勝ち残る2チームがリーグ決勝へ
──────────────────
リーグチャンピオンシップ(LCS)
2チーム → リーグ王者(AL/NL)
──────────────────
ワールドシリーズ(WS)
ア・リーグ王者 vs ナ・リーグ王者 → 世界王者
一口に「WS(ワールドシリーズ)」と言っても、
選手たちはこのような 長く険しい階段を何段も登り切ってきた 上で、
ようやくたどり着いている舞台です。
当然、ここまでコマを進める選手たちは
一年を通して徹底した体調管理、負荷コントロール、データ主導の調整プログラムを受けています。
MLBの頂上決戦
それでも――
世界中の視線が集まり、
最高レベルのチーム同士が激突し、
一球の失敗で流れが変わる舞台。
このシリーズは「7戦4勝制」で行われ、先に4勝を挙げたチームがその年のMLBのチャンピオンとなります。
そこには間違いなく
極限の疲労、緊張、重圧がつきまといます。
だからこそ、ワールドシリーズの舞台で“完投” や “3勝” といった記録が飛び出す信じがたい光景を目の当たりにした、アメリカのメディアやファンは一斉に
「これは rarely seen(滅多に見られない)」
「歴史的だ」
と受け止めたのでしょう
最優秀選手(MVP)の栄誉
ワールドシリーズで優勝したチームの中から、特に目覚ましい活躍を見せた選手には最優秀選手賞(MVP)が贈られます。
山本由伸選手は、そのワールドシリーズMVPを獲得した日本人2人目の選手です。
MLB1年目にしてチームを世界一に導く投球を見せ、「GOAT(史上最高の選手)」に近づく存在としても評価されています。
日本人としてこの栄誉を初めて手にしたのは、2009年にニューヨーク・ヤンキースでワールドシリーズMVPに選ばれた松井秀喜選手です。
山本由伸~その伝説の始まり
ここからは山本の評価を伝説級にまで押し上げたその記録について、かみくだいて解説していきます。
24年間誰も到達できなかった“3勝0敗”というインパクト
ワールドシリーズで3勝を挙げた投手は、2001年のランディ・ジョンソン以来、実に24年間現れていません。
それほど達成が難しい記録を、山本由伸はMLB1年目(ルーキーイヤー)で達成しました。
優勝への貢献度が群を抜いていた山本選手への称賛は異論をはさむ余地がありません。
全7戦中、山本投手が3試合に登板し勝利を収めた事実は、シリーズ全体の流れをまさに一人で変えてしまうほどの大きな影響力を持っています。
この魔人のような活躍こそが、チームを世界一に導いた決定的な要因となりました。
MLBでは、レギュラーシーズン(年間の試合)を勝ち抜いた強豪だけが進める “ポストシーズン(= その年のメジャーリーグ最強チームを決めるトーナメント戦)” で先発投手が3回も勝つこと自体、極めて困難とされています。
⚾短期決戦のため登板間隔が短くろくに休めない。
⚾戦う相手はその年の最強チーム、化け物クラスの猛者ばかり。
⚾現代野球は中継ぎ投手と役割分担する“分業制”がセオリー。
⚾先発投手が何度も勝ち星を挙げるという機会がそもそもない世界。
こうしたハードルをすべて乗り越えて山本由伸が残した「3–0 W/L」は、「いったいどうしたらそれができるの?」と言われるくらいすごい数字です。
ドジャースの先輩、あの大谷翔平選手さえ「どうやってあれだけ投げられたのか全然わかりません。」とうなるほどです。
17.2イニングという“ほぼ不可能”な投球量をワールドシリーズで達成
MLBでは、先発投手が長く投げることはめったになく、5〜6回で降板するのが当たり前なのだとか。
そんな中で山本由伸は、極限の短期決戦であるワールドシリーズで、わずかな休養日程にもかかわらず 計17.2イニング(先発3試合分に相当)を投げ抜きました。
これは「1試合あたり6イニング×ほぼ3試合」に近い数字で、現代MLBではほぼ不可能とされる投球量です。
ふつうの先発投手3人分の仕事を、1シリーズでほぼ1人で担い切ったことになります。
しかもその間、自責点2・15奪三振という圧巻のパフォーマンスを維持し続け、専門家からは 「Almost impossible(ほぼ不可能)」 と評される歴史級の大仕事として高く評価されています。
わずか“自責点2”―世界最高峰を相手にほぼ無傷の投球
ワールドシリーズという、MLBでも最も緊張感の高い極限の舞台で、山本由伸は 17.2イニングを投げて自責点わずか2 に抑えました。
これは防御率に換算すると 1点台 に相当し、短期決戦のワールドシリーズでは“異常値”と言われるレベルです。
なぜこれほど評価されるのか。
その理由は、ワールドシリーズでは 1点の価値がシーズンの10点分に匹敵する と言われるほど、すべてが勝敗に直結するからです。
世界の強打者たちが揃う中で、ほぼ無傷でまとめ上げたという事実は、技術・集中力・メンタルのすべてにおいて歴史級のパフォーマンスを示した証です。
15奪三振が示す“力でねじ伏せた”支配力
さらに特筆すべきは、山本がワールドシリーズで記録した 15奪三振 です。
これは単なる「三振を取った」数字ではありません。
三振は投手の球威、変化球のキレ、緻密なコントロール、そして相手打者の研究を上回る“投球術”が揃ったときにだけ生まれる指標だからです。
MLBの強打者たちは、全球団の分析スタッフがデータを集め、投手の弱点を徹底的に突いてきます。
その中で15個もの三振を奪える投手はきわめて限られており、ましてやワールドシリーズという極限の場で達成できる新人など、歴史を遡ってもほとんどいません。
歴代の「ワールドシリーズ奪三振記録」との比較を見るとルーキーの成績としては信じがたい記録とわかります
| 投手 | 年 | 奪三振 | 備考 |
| サンディ・コーファックス | 1965 | 29K | 殿堂入り・伝説 |
| カート・シリング | 2001 | 26K | 歴史級の鉄腕 |
| ランディ・ジョンソン | 2001 | 17K | 最強左腕 |
| 山本由伸 | 2025 | 15K | 新人としては異例 |
⚠ 現代野球では投手の登板間隔や投球制約が厳しいため2000年代以降で15Kは極めて稀。
つまりこの15奪三振は、日本一の投手である山本が MLBの舞台においても“打者を力でねじ伏せる存在”に到達した証明であり、GOATと称されるにふさわしい支配力を示す数字なのです。
アメリカ現地メディアが伝えた”YOSHINOBU YAMAMOTO”
ここからは英語ニュース見出しから “生きた英語表現” を学ぶ英トレコーナーです。
MLB関連ニュース見出しは、短くて強烈で、英語学習者にとって最高の教材です。
ここでは、アメリカ現地メディアの実際の見出し → 使える英語表現 → ネイティブのSNS反応
までまとめて紹介します。
“Dodgers’ Yoshinobu Yamamoto wins World Series MVP — as Dave Roberts declares pitcher is the ‘GOAT’”— New York Post
デーブ・ロバーツ監督がドジャースの優勝決定時に、中継で山本選手を「Yamamoto’s the GOAT(史上最高)」と感極まって叫んだという話はメディアを通して全米に拡散されました。
アメリカ国内で「山本=GOAT」という評価を一気に定着させたできごとでした。
もともとワールドシリーズでの山本選手の規格外(レベチ)の活躍という土台がベースボールファンの間でできていたことから、この監督の発言が決定的な引き金(トリガー)となり、メディアやSNSが一斉に反応したという背景があります。
🔍ポイント
- declares:強く断言する・宣言する/公式に言う
- GOAT:Greatest Of All Time(史上最高)「pitcher is the GOAT」はこれ以上ないほめ言葉。
💬英会話での応用
- Her husband declared that his mother’s cooking is the best.
(彼女の夫は母親の料理が最高だと言い切った。) - He declared that his girlfriend is the best.
(彼は彼の恋人が最高だと言い放った。) - The woman who declared, “Japan is back,” was elected prime minister.
(「ジャパンイズバック」と宣言したその女性は総理大臣に選ばれた。) - You’re the GOAT of presentations.
(あなたはプレゼンの神)
🌐SNSでの反応(抜粋)
🔵 1. deserve(デザーヴ)
■ 意味
「〜に値する」「〜して当然だ」「受ける資格がある」
=ポジティブにもネガティブにも使える。
■ ニュアンス
- “実力・努力・結果に見合う”
- “正当な評価だ”
という “道理にかなった” 感覚が強い。
■ SNSの山本評
He deserves it.
=「彼(山本)がそれを受けて当然だよ」
(→ MVPに値する → 文句なしで妥当)
“Yoshinobu Yamamoto wins 2025 World Series MVP.”
“He deserves it.”
このように会話で使います。
■ 会話例
- You deserve it.
(あなたはその資格あるよ。)=それにふさわしい、という意味 - She deserves the promotion.
(彼女が昇進するのは当然) - He deserved that loss.
(彼は負けて当然だった)※ネガティブ
🟠 2. dude(デュード)
■ 意味
「男」「アイツ」「お前」「友達」 に近いカジュアルな呼びかけ。
日本語でいうと文脈により:
- 「あいつ」
- 「お前」
- 「兄ちゃん」
- 「なあ、友よ」
- 「マジでこいつ…!」
みたいな雰囲気。
■ ニュアンス
- 親しみ
- 驚き
- 強調
のいずれか。
SNSでは “語気強めの驚き” を込めることが多い。
■ 山本へのSNS例
Dude was unhittable.
=「あいつマジで打てる気しなかったわ」
“Dude” があることで温度が2段階くらい上がる。
■ 会話例
- I saw a tall dude with a flannel and jeans.
(フランネルシャツにジーンズ姿の背の高い男性が見えたんです。) - Come on, dude.
(頼むよ、まじで。) - This dude is crazy.
(この人ヤバい。)※良い意味も悪い意味もOK
🔥 3. unhittable(アンヒッタブル)
■ 意味
野球用語で
「打てない」「手が出ない」「完全に打ち崩せない」
つまり “ほぼ攻略不可能” の投手を指す。
日常でも比喩として使える。
■ ニュアンス
“un + hit + able”
→ hit(打つ)できない → 打てない
スポーツ界では最高級の褒め言葉。
■ 山本へのSNS例
Dude was unhittable.
=「あいつは完全に打てなかった。」
=「圧倒的に支配していた。」
■ 会話での応用
- Her presentation was unhittable today.
(彼女のプレゼン、完璧すぎてつけいるすきがなかったよ。)
※比喩表現(ビジネスでも使える)
- He threw unhittable pitches all night.
(彼は一晩中、誰も手が出ない球を投げていた。)
contract:「契約」「契約書」「契約内容」
直訳すると
「山本は “なぜ彼が3億ドルの契約を手にしたのか” を示した。」
“A rarely seen performance let the Dodgers even the World Series”
— The Washington Post
‘rarely seen performance‘ とは「めったに見られないパフォーマンス」という意味です。ここでは
🔍ポイント
- rarely 「めったにない」
“rare”(レア) は「珍しい・希少」という意味で日本語としても普通に使われている単語ですね。
rarely は “まれにしか起こらない・滅多に起きない” という意味の副詞です。
頻度を表す副詞は会話で使う機会も多いので、ここでその使い方を整理しておきます。
| 頻度 | 英語 | 日本語ニュアンス | 出現イメージ |
| +100% | always | いつも | 毎回起きる |
| +80–90% | usually | たいてい | ほとんど起きる |
| +60–70% | often / frequently | よく / 頻繁に | 週に何回も |
| +40–50% | sometimes | ときどき | 週に1–2回 |
| +15–25% | occasionally | 時々ある | 月に数回 |
| +5–10% | seldom | あまりない | 年に数回 |
| +1–5% | rarely | めったにない | 数年に1回レベル |
| 0–1% | hardly ever | ほぼゼロ | 起きたら奇跡級 |
| 0% | never | 一度もない | 完全否定 |
【頻度副詞・完全マップ】rarely はかなり強い表現なことが一目でわかります。
- let the Dodgers even the series=「シリーズをタイに戻した」
💬英会話での応用
- These days, even when it snows in Busan, it rarely sticks.
(最近は釜山で雪が降っても積もることはめったになくなった。) - This win let us even the score.
(この勝利でスコアを追いついた)
🌐SNS反応
■once-in-a-generation stuff は「世代に一度レベルのやばい出来事」のような意味のスラング表現。
「stuff」の意味と用途
● 基本的な意味
物、物質、素材
例:some sticky stuff(何か粘つく物質)
● 抽象的な意味
事柄、あれこれ、内容、まとまったもの
例:I have some stuff to do.(ちょっとやることがある)
● 使用される場面
曖昧な話題
まとまりのない事柄
気持ち・感情
出来事・現象
“れいのあれ”という共有ニュアンス
→ 非常に幅が広く、万能なカジュアル表現
● 日本語でのニュアンス
日本語の
「あれ」
「そんな感じのやつ」
「ああいうやつ」
「あれこれ」
といった、ざっくりした日常表現に相当します。
■ 文法的な特徴と注意点
● 不可算名詞(数えられない)
❌ stuffs→ 複数形にはできません。
● 「thing」との違い
| 単語 | 可算/不可算 | 用途 |
| stuff | 不可算(数えられない) | あれこれ・抽象的・まとめて言う |
| thing | 可算(数えられる) | 具体的な物や事柄 |
例:
I bought three things.(3つ買った)
I bought some stuff.(色々買った)
■rarelyを使った例文
These days, my elderly father rarely goes on long trips anymore.
(最近は父が遠出することはもうほとんどない)
※ anymore をつけると「以前はあったが今はない」ニュアンスになる。
Since I left Japan, I’ve rarely met any Japanese people.
(日本を離れてからは、日本人に会うことがめったになくなりました。)
まとめ|なぜ山本由伸は“GOAT候補”と呼ばれるのか
山本由伸選手の活躍を追ってきた結果、アメリカのファンやメディアが口を揃えて使った「GOAT(史上最高)」という言葉の重みが、よりハッキリ感じていただけたでしょうか。
- “He’s the GOAT.”(史上最高だ)
- “He deserves it.”(当然の結果だ)
- “Dude was unhittable.”(打てる気がしなかった)
- “A rarely seen performance.”(めったに見られない)
これらはすべて英語学習にも直結する、生きた英語表現です。
山本選手の記録を知ると同時に、英語の意味や温度感まで自然に理解できる──。
それを今回の記事では目指してきました。
“GOAT”という一言の裏に広がる背景が見えてくると、これからMLBを見る楽しみも、英語を学ぶモチベーションもさらに広がっていきます。
これからは山本選手が切り開いていく野球の新しい歴史から目が離せそうにありません。



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