釜山のソウルフード「デジクッパ」を食べずには帰れない!

釜山の食堂で供される、湯気の立つトゥッペギのデジクッパ。ニラと豚肉がたっぷり入った素朴な一杯。

海外旅行先として常に人気の韓国。中でも港町・釜山(プサン)は、ソウルとは一味違った活気と開放的なローカル感にあふれた街です。
そんな釜山を訪れる際、絶対に外せないグルメが「デジクッパ」です。

「釜山に来てデジクッパを食べないのは、日本に来てラーメンを食べないのと同じ」と言われるほど、この街のアイデンティティに深く根付いた料理です。
今回は、庶民に愛される最も釜山らしい食事、デジクッパの魅力とその楽しみ方を徹底解説します。


1. デジクッパとは?――釜山のソウルフード、その正体

「クッパ(국밥)」とは、クッ(スープ)+パブ(ごはん)を組み合わせた料理の総称。韓国には、牛肉の「ソルロンタン」や「ユッケジャン」、もやしの「コンナムルクッパ」など多彩な種類がありますが、釜山で最も日常的に食べられているのが豚(デジ)を主役にした「デジクッパ」です。

豚の骨を長時間煮込んだコクのあるスープに、しっとりと茹で上がった豚肉がたっぷり。
日本のとんこつラーメンに近い親しみやすいこくと風味、あっさりした後味が特徴です。

2. なぜ釜山でデジクッパなのか?――歴史が育んだ味

なぜこれほどまでに釜山で愛されているのでしょうか。そこには、朝鮮戦争という激動の歴史が関係しています。

戦時中、多くの避難民が釜山に集まりました。食糧が不足する中、当時米軍基地などで比較的手に入りやすかった豚の骨を利用し、故郷(北朝鮮側)の郷土料理を再現しようとしたのが始まりとされています。

生きることにぎりぎりの状態で人々が、せめて空腹だけでも満たして希望をつなげたいう願いがあったのでしょう。
かろうじて手に入る食材は豚肉の骨とアミの塩辛でした。故郷の味をなつかしみながら避難生活者たちが空腹をしのいだ料理がのちにデジクッパとして売られるようなりました。お腹いっぱい食べさせてあげたいという「情(ジョン)」が一杯のクッパにいきづいています。

3. いざ実食!デジクッパを120%楽しむ作法

釜山の街を歩けば、ビジネス街から住宅街、大学周辺まで、驚くほど簡単にデジクッパの看板を見つけることができます。店に入ったら、まずは基本の「デジクッパ」、あるいはホルモン入りの「ネジャンクッパ」、お肉とホルモンが混ざった「ソッコクッパ」「スンデクッパ」から選びましょう。

クッパ基本メニュー

デジクッパ(돼지국밥)
豚肉入りの豚骨スープにごはんを合わせた、釜山の定番。
クセが少なく、日本人にも食べやすい基本の一杯。

ネジャンクッパ(내장국밥)
豚の内臓(ホルモン)を使ったコクのあるクッパ。
風味が強く、ローカル感のある味わい。

ソッコクッパ(섞어국밥)
豚肉と内臓を両方楽しめるバランス型。
迷ったときの定番で、地元客の注文率も高い。

スンデクッパ(순대국밥)
韓国式ソーセージ「スンデ」入り。
もちっとした食感が特徴で、内臓系が平気な人向け。

① 「自分好み」に育てるのが釜山流

デジクッパの最大の特徴は、運ばれてきた時点では「未完成」であること。テーブルに並ぶ調味料を使い、自分好みの味に仕上げるのが通の楽しみ方です。

  • アミの塩辛(セウジャン): 塩味だけでなく、豚肉の消化を助ける酵素も含まれています。
  • タデギ: 唐辛子ベースのピリ辛タレ。少しずつ溶かして味に深みを出します。
ワンポイントアドバイス

辛いのが苦手な人はタデギを少なめに使ってお好みで調節して下さい。
韓国語で「(タデギ)少なめにしてください」あるいは「別々にください」という時の言い方を知っておくだけで旅の体験値が跳ね上がります。

■ タデギを少なめにしてほしい時

다데기 조금만 주세요
(タデギ チョグマン ジュセヨ)
= タデギ少なめでお願いします

■ タデギを別々にしてほしい時

다데기 따로 주세요
(タデギ タロ ジュセヨ)
= タデギを別にしてください

この一言を知っているだけで、

  • 辛さを自分で調整できる
  • まずはスープ本来の味を楽しめる

というメリットがあります。

韓国料理入門者やお子さん連れには、「따로 주세요(別々に)」がおすすめですよ。

  • ニラ(ブチュ): 釜山スタイルの象徴。これでもかというほどスープに入れて、シャキシャキ感を楽しみましょう。

② 火傷に注意!直火の器「トゥッペギ」

クッパは「トゥッペギ」と呼ばれる黒い土鍋で、グツグツの状態で運ばれてきます。この熱さがご馳走です。灰汁(あく)が気になる場合は、このタイミングですくってもマナー違反ではありません。ふうふうと冷ましながら、豪快に頬張りましょう。


4. ワンランク上の注文「スユッペッパン」のススメ

もし少し贅沢をしたいなら、「スユッペッパン(ゆで豚定食)」を注文してみてください。

これは、具なしのスープとご飯に、美しくスライスされた「スユッ(ゆで豚)」が別皿で提供されるセットメニュー。
まずはプリップリのゆで肉をサンチュやエゴマの葉で包んで食べ、その後で残ったご飯とスープをクッパにして楽しむ……。一度の食事で二つの贅沢を味わえるメニューです。

韓国ではお葬式に遺族側から弔問に訪れた人にこの「スユッ」をメインとした食事とお酒を振舞う習慣があります。

最後に:釜山の日常に溶け込む体験

釜山を訪れてデジクッパを食べるという体験は、観光名所を巡ることとは少し違います。

ここで暮らす人たちの飾らない日常の中に身を預け、皆と同じ食事を味わうことで、その土地の空気や価値観に静かに触れる時間です。


デジクッパは、人々の暮らしに寄りそう釜山を代表する料理の一つです。

観光者向きの華やかさはないけど、素朴で腹持ちがよく、特に冬には体の芯からあたたまります。
次回の旅では釜山ならではの食体験として、ぜひあなただけのデジクッパを堪能してみてください。

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